パワーストーンについて本やサイトを調べているとモース硬度という言葉をよく目にします。
それにはどのような意味があり、その硬度から何がわかるのでしょうか。普段あまり硬度を気にしない人も、モース硬度の意味がわかれば、パワーストーンの奥深い魅力をまたひとつ知ることになるでしょう。
目次
モース硬度の意味
モース硬度とは、主に鉱物の硬さを表すための尺度の一つです。最も柔らかいものを1、最も硬いものを10とし、1~10の数値で鉱物の硬さを示すことができます。1822年、ドイツの鉱物学者グリードリッヒ・モースが提唱したことから、モース硬度と呼ばれています。
現在、地球上で最も硬い鉱物はダイヤモンド、最も柔らかい鉱物は滑石と言われています。つまり、モース硬度1は滑石を標準とし、モース硬度10はダイヤモンドを標準とした硬さです。
モース硬度の表す硬さとは、あるものでこすったときに傷がつくかどうかを基準としたもので、衝撃によって壊れるかどうかということではありません。モース硬度が最も高いダイヤモンドは、他のもので傷をつけることはできませんが衝撃には脆く、衝撃を受ける角度や強さによっては簡単に砕けてしまいます。
モース硬度の基準と測り方
硬度の測り方
モース硬度の測り方は、硬度ごとに基準となるもので引っかいたときに傷がつくかどうかで測ります。共通した一つの基準や数式から絶対的な数値が導き出されるわけではなく、硬度2までは爪で、硬度3までは10円硬貨で、硬度5まではナイフや釘で傷つけられれば、その基準よりも低い硬度として、0.5低い硬度がつけられます。こすり合わせた両方が傷つけば同等とされ、その基準の物質と同じ硬度となります。
たとえば爪では傷つけることができないが、硬貨でこすると傷をつけられる鉱物であれば、相対的にそれらはすべて硬度2.5とされます。同じ高度2.5の鉱物でも、硬さに違いがある場合があるということです。
硬度ごとに標準鉱物がある
整数の各硬度には、その硬度の標準となる鉱物があります。これらの鉱物をサンプルとしてそろえておくことで、簡単に未知の鉱物の硬度を調べることができます。どの硬度にどの鉱物が設定されているかは、この後にご紹介する一覧表を参考にしてみてください。標準鉱物が手に入らない場合や手元にない場合に、爪やナイフ、ガラスなどで代用できます。
モース硬度の一覧表
モース硬度と硬さの基準、その硬度に当てはまる主な鉱物について、一覧にまとめます。
モース硬度 | 硬さの基準 | 標準となる鉱物 (パワーストーン名) |
1 | 爪で容易に傷がつく | ロウ石(ソープストーン) |
2 | 爪で傷がつく | 石膏(セレナイト) |
3 | 10円硬貨で傷がつく | 方解石(カルサイト) |
4 | ナイフや釘で容易に傷がつく | 蛍石(フローライト) |
5 | ナイフや釘でなんとか傷がつく | リン灰石(アパタイト) |
6 | 鋼ヤスリで傷がつく | 正長石(ムーンストーン) |
7 | ガラスに傷をつけられる | 石英(クォーツ、トルマリン) |
8 | 石英に傷をつけられる | トパーズ |
9 | トパーズに傷をつけられる | コランダム(ルビー、サファイア) |
10 | コランダムに傷をつけられる | ダイヤモンド |
ビッカース硬度やヌープ硬度とのちがい
ビッカース硬度とヌープ硬度
硬度を表す尺度には、モース硬度の他にビッカース硬度やヌープ硬度があります。どちらも、決められた形に精密に作られたダイヤモンドの剛体(圧子)を調べたい物質に特定の荷重で押し込んで、できたくぼみ(痕)の大きさで硬さを図ります。ヌープ硬度のほうが物質への負担が少なく、脆い素材や非常に薄い素材の計測に向いています。
正確な硬度が測れるため工業材料などに使われますが、どちらも専門的な計測器が必要で、誰でも気軽に調べられるわけではありません。
簡単で実践的なモース硬度
モース硬度の各硬度間の差は等間隔でもなく比例もしてなくバラバラです。硬度1と2の間の差は小さく、硬度9と10の間の差は140倍とかなり大きくなっています。
このような曖昧な数値では科学的でなく不便なように思えますが、鉱物を採掘したりやり取りしたりする野外では、その場で簡単に、お金もかけずに鉱物を同定できる非常に便利な方法と言えます。そのため、現在でもこのモース硬度は広く使われています。
身近な鉱物や宝石のモース硬度
一番身近な鉱物は砂ぼこり
モース硬度が直接私たちの生活に関わるとしたら、身の回りにある砂の硬度です。普通の砂の主成分は角閃石と長石と石英で、この中では石英が一番硬いので、砂ぼこりの硬度は7ということになります。硬度7よりも柔らかいものに砂ぼこりがついたときは、不用意にこすると傷がついてしまいます。パワーストーンでいうとムーンストーンやラブラドライトなどは傷がつきやすいので、ホコリを取り除く時にはそのまま拭き取らず、吹き飛ばすようにすると良いでしょう。
また、複数のパワーストーンを組み合わせたアクセサリーなどをしまう場合は、お互いに触れあって傷をつけないように注意しましょう。
主なパワーストーンの硬度一覧
最後に、主なパワーストーンの硬度を一覧にします。参考にしてくださいね。
硬度 | 主な鉱物 |
1 | ソープストーン |
1.5 | グラファイト、鶏冠石(リアルガー) |
2 | 石膏(セレナイト)、スティブナイト、岩塩 |
2.5 | 金、銀、銅、レピドライト、ガレナ |
3 | 方解石(カルサイト) |
3.5 | バライト、マラカイト |
4 | 蛍石(フローライト) |
4.5 | 白金 |
5 | リン灰石(アパタイト) |
5.5 | ヘマタイト、マグネタイト、トルコ石、角閃石、輝石 |
6 | 正長石(ムーンストーン)、ラブラドライト |
6.5 | ルチル、錫石(キャシテライト) |
7 | 石英(水晶)、トルマリン、ヒスイ、カンラン石 |
7.5 | ベリル(エメラルド、アクアマリン)、ガーネット |
8 | トパーズ |
8.5 | アレキサンドライト |
9 | コランダム(ルビー、サファイア) |
10 | ダイヤモンド |